「品田穣の鳥島紀行」 56年前のアホウドリとの出会い 3

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「アホウドリ」に逢えた

▲ 上の写真は、56年前に品田穣氏によって鳥島において実際に撮影された「アホウドリ」の写真です。

この「品田穣の鳥島紀行」は、今から56年前 1964年 ( 昭和39年 )日本で第18回東京オリンピックが開催された年の12月に、気象庁の観測船「凌風丸」( 1180トン 全長69m ) に便乗して鳥島に「アホウドリ」の調査に行かれた、品田穣 ( しなだゆたか ) 氏の実際の記録です。

朝、8時ごろだった。
忙しいにも関わらず朝食後、鳥好きの所員が「アホウドリ」の繁殖地まで案内してくれた。

さすが南国なので寒さは感じなかった。鳥島の西の測候所から南東の「アホウドリの繁殖地」のある燕崎にいくには、月夜山の南西斜面の山裾を巻いて通って行くのが、一番わかりやすい。

途中は草も生えないスコリヤと言う火山砂礫 ( かざんされき )で、崖の上を恐る恐る歩いた。
まるで登山の稜線歩きの感じだ。
崩れれば20m〜30m下の崖錐 ( がいすい ) まで転落する事は間違いない。ロッククライミング程ではないが、落ちればただではすまない。
一緒に来た若い内科医のドクターだと転落して重症になったらとちょっ頼りない。

案内してくれた測候所の所員に「この下」と指さされて見てみたが崖の下は見えない。
もちろん「アホウドリ」も見えない。
「気を付けて ! 」と言われながら大きな溶岩の岩塊 ( がんかい )( 角張った大きい岩石のかたまり ) と岩塊の隙間を選び、
そして、足場が崩れやすいので岩に抱きつきながら慎重に降りて行き、最後は砂礫を滑り落ちるようにして崖下に着いた。

降りてきたところは、ややくぼんだ所で、大雨の時は水が流れ落ちる地形になっていた。

やっとの事で、営巣地の草場にたどり着いた。

そこは、まさに「アホウドリ」の楽園だった。

高さ1m 以上ある「ハチジョウススキ」のブロックが何箇所もあり、真っ白な大型の鳥「アホウドリ」が営巣している。こんなに近くで、こんな大型の鳥を今まで一度も見た事はない。
初めての光景にしばし見入っていた。

日当たりも良く春のようだ。
北風も当たらなく静かなこと。
昨日乗ってきた凌風丸も北風を避けて燕崎沖に停泊している。
あの命がけで、鳥島に上陸した時の大荒れの波の海が嘘のように穏やかです。

▲ 上の写真を見て下さい。
左側の海に停泊しているのが凌風丸です。
そして、
右下隅に写っているのがアホウドリです。


案内してくれた測候所の所員は
「帰りは、きた道を通って、気を付けて」
と言い残して帰ってしまった。

孤島の、人気のない営巣地で、ただ一人佇んで「アホウドリ」を見ていた。
「よかった」
と言う安堵感が全身を襲ってきた。
絶滅したと思われていた「アホウドリ」がまだかなり残っている。
「本当に良かったなぁ、心配したぞ!」
と声をかけた。
他に誰もいないので、何を言っても構わない。

それから、私は一羽の「アホウドリ」に近づいた。
10m、5m、と近づいても私をチラッと見るだけで平然としている。
なるほど、これでは何万羽も撲殺されて羽布団にされたと言うのも無理はないと思った。

警戒されないように、「アホウドリ」と同じ目線の高さで寝転んだ。

じっくり見ていると「アホウドリ」の首から上が、
小春日和の日差しを浴びて、金色に輝いている。
こんなに綺麗な金色は見たことがない。

「触れたら羽布団のように、ふわふわして気持ちがいいだろう」

その誘惑に勝てず、少しずつにじり寄って、
もう少し寄れば手が届くところまで近づくことが出来た。

「アホウドリ」の側で、長い時間を過ごした。



🐤次回は、この日のお昼からのお話を・・・

この続きの、
「品田穣の鳥島紀行」56年前のアホウドリとの出会い 4
「冷静なナチュラリストに返って」は、下のところから、
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 「品田穣の鳥島紀行 56年前のアホウドリとの出会い 4 」は、こちらから




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