組写真・作り方・考え方 2017年 1月編 [ 2 ]「貫く思い」

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3枚の写真で、組写真を作り
「ものがたり」を表現していく

▼ 下の組写真が、2017年1月に展示した「貫く思い」です。

貫く思い

43年ぶりに対面した 太陽の顔
その迫力に圧倒された よくぞ残った いや
残るべくして残った その二つの思いが重なった

「人類の進歩と調和」がテーマの万博
太陽の顔は さまざまな人類を目にしたであろう
しかし 本当にその目に写っていたのは
地球の原始の風景だったのでは

人類は進歩しているのだろうか
目に見えるものばかりを追いかけ
心の目で見て 感じられる感覚を
大切にする心が 薄れているのではないでしょうか

北海道から沖縄まで一斉に花咲く 彼岸花
土の中で何を感じて「今だ!」と芽吹くのか

己の心の奥深くを 貫く思いを
素直に見つめられる そんな私でありたい





前回の続きで、組写真の一番上の天使のきざはしの写真を説明していきます。
▼ 下の写真を見てください。

この写真は、奈良県山添村の神野山(こうのやま)山頂から撮影しました。撮影した時間が13時35分なので南の方角だと思います。
雲間から光がこぼれ落ちる、「天使のきざはし」の神秘的な光景に心惹かれてシャッターを切りました。

そして、組写真の真ん中の写真、太陽の塔の太陽の顔が見ているのは、このような景色なのではないかと思い、この写真に決めました。
この写真は、組写真の中では「遠い写真」になります。


▼ 下の写真を見てください。

この写真が実際に撮影した写真です。右側と下をトリミングでカットしています。


⭐️ ここで、ちょっと黄金分割について説明します。
山とか海、そして、空の写真は、写真の縦を3分割したラインに水平線、地平線が、山の峰がある写真のがバランスが良い写真とされています。


だからこの場合は、「天使のきざはし」を大切にしたいと思ったので、下の山の部分をカットして写真全体の3分の1のラインのところに山のラインがくるようにトリミングをしました。

* 私が使っている写真編集ソフトは「Lightroom」(ライトルーム) です。

* Many・Thanks 「Lightroomのトリミングツールの使い方」は、こちらです。



レタッチで、
「天使のきざはし」が強調されるように、コントラストをかなり上げて、さらに明瞭度を上げています。
そして、次に、ハイライトと白レベルを上げて、光と雲の白さを強めています。



次に、組写真の一番下の彼岸花の写真を説明していきます。
▼ 下の写真を見てください。

彼岸花です。
この彼岸花は、お彼岸の頃に日本中でいっせいに咲きます。不思議だと思いませんか?
桜の花だと「さくら前線」という名前で、沖縄から始まり、だんだんと北に向かい最後に北海道になります。
しかし、この彼岸花はどうでしょう? お彼岸の頃に花芽だけが土の中からにょきにょきと顔を出して、花を咲かせます。そして、花が終わり枯れてから、葉の芽が出てきます。花芽と葉芽は、一度も出会うことがないのです。

この沖縄から北海道まで、全国で同じ時期に花咲く彼岸花の持っている不思議さと、太陽の塔の太陽の顔の写真とを組もうと思いました。

そして、この写真は、組写真の中では「近い写真」になります。

▼ 下の写真を見てください。

この彼岸花の写真が実際に撮影した写真です。



⭐️ ここでちょっと
私は撮影の際、いつもセンターピントで撮影します。スナップ写真が多いせいでもあるのですが、
シャッターチャンスを逃さないためです。
「あっ!」と思った時に、逃さず、迷わず、シャッターを押すためです。
「ROW [ ロウ ]( 生 )」画像で撮影していれば、「どんなトリミングも怖くない」という勢いです。


*スナップ写真の撮影の仕方の参考に、ぜひ、合わせてお読みください。 
Many・Thanks 「スナップ写真とレンズ」は、こちらから

SHASHIN・65
65歳からの写真を楽しむ練習 3「スナップ写真 1」は、こちらから

SHASHIN・65
65歳からの写真を楽しむ練習 4「スナップ写真 2」は、こちらから




戻ります。

トリミングで、右下の映り込んでいる花と彼岸花の一部をカットしました。彼岸花の一部をカットする事によって、写真を見ている人の頭の中に、多分あるであろう彼岸花の姿を想像します。それによって写真に広がりができて、彼岸花にグッと近づいた写真になりました。
それと、私がこの写真の好きなところは、後ろの白い丸ボケが、赤い彼岸花を引き立てているところです。
何か、彼岸花が宙に浮いている感じがしませんか?

レタッチは、露光を上げて明るい写真にして、白レベルを上げて後ろの丸ボケを強調し、最後に自然な彩度を上げて、緑を綺麗な色にしています。
そうする事によって、抜け感のある空気の澄んだ写真になりました。




* 私が使っている写真編集ソフトは「Lightroom」(ライトルーム) です。

* Many・Thanks 「Lightroomのトリミングツールの使い方」は、こちらです。


*トリミングでお悩みの方、ぜひ参考に合わせてお読みください。
KUMISHASHIN
「組写真・トリミング・考え方 2013年4月 足もと」は、こちらから

KUMISHASHIN
「組写真・トリミング・考え方 2013年5月 若者 」は、こちらから

KUMISHASHIN
「組写真・トリミング・考え方 2013年7月 通りすがり 」は、こちらから

KUMISHASHIN
「組写真・トリミング・考え方 2013年9月 白の時 」は、こちらから

KUMISHASHIN
「組写真・トリミング・考え方 2013年11月 いちょうの葉 」は、こちらから





最後に組写真全体のことを説明していきます。
▼ もう一度、下の「貫く思い」の組写真を見てください。

この組写真は、真ん中の写真「太陽の塔の太陽の顔」の写真を中心に、「遠い写真」「近い写真」で組まれています。
「遠い写真」は、一番上の「天使のきざはし」の写真です。
そして、
「近い写真」は、「彼岸花」の写真です。
「遠い写真」と「近い写真」で組写真を組むことでバランスの取れた3枚の組写真になっています。

それから、彼岸花の「赤」が組写真を引き締めてくれていると思います。


この組写真の「ものがたり」は、
「太陽の塔の太陽の顔が、見つめる先には、太古の原始の世界が広がり、足元には、赤い不思議な花が咲き誇っている」になります。


最後に、岡本太郎さんの言葉を
私は、太陽の塔の太陽の顔が見つめているのは、遠い昔の日本の豊かな自然に満ちあふれた風景だと思ってこの組写真を組みました。
この組写真を組ませていただいて、もう5年半の月日が過ぎています。

先日、
テレビの岡本太郎さんの特集番組で、万国博覧会が終わり、全てのものが撤去されて、太陽の塔だけが立ちつくしている万博記念公園を岡本太郎さんが訪れた時の様子が話されていました。
岡本太郎さんが太陽の塔の前に立たれた際、そばにいる人が岡本太郎さんに尋ねられたそうです。

「この太陽の塔の太陽の顔は何を見ているのでしょうか・・・」と、
岡本太郎さんに尋ねると、
岡本太郎さんは、
「宇宙を見ている」
と、答えられたそうです。

岡本太郎の思いのスケールの大きさに、あらためて感動しました。


私の心の中は、岡本太郎さんが作られた、この太陽の塔の太陽の顔の写真で組写真を作らせていただいた事に感謝の思いでいっぱいです。
本当にありがとうございました。



前回の、組写真2017年 1月編[ 1 ]「貫く思い」の説明は、
KUMISHASHIN
「組写真・作り方・考え方 2017年1月編 [1] 」「貫く思い」 は、こちらから




KUMISHASHIN 「組写真・作り方・考え方」は、こちらから

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