Postcard ポエム「たがいが」2019年 8月

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古くからの 手作りのお豆腐屋さん
きれいな水の底に ひたっていた
手作りなので 形が少しずつ違う

お豆腐 一つ一つのすきまに 清い水
人 それぞれの間に 清い風

人の暮らしの中で 押し寄せてくる
身に染み入る哀しみを
心の奥に うずくまっている想いを

たがいに 清めあいながら
今を 生きていく
前を向いて 明日を生きていく



2019年8月 Postcard ポエム
「たがいが」

奈良県桜井市にある長谷寺
近鉄大阪線の長谷寺駅から参道を歩いて長谷寺にむかう途中で、昔ながらの通りにむかい開かれた、間口の広いお豆腐屋さんで出会った「お豆腐」です。

この時は、夢中でシャッターを切っていた。
たまたまお店の人がいなくて、ラッキーと思いお店の人が戻ってこられないうちに・・・と、気がせいていた。
お豆腐のひたっているタイル作りの水を溜めた水瓶の側の蛇口からは、細く糸を引いたように水が出ていた。
それから、お豆腐のひたっているそばには、大きな三角のあぶら揚げも置かれていた。
この開け放たれたお店は、昔の日本のお豆腐屋さんを思い起こさせてくれた。


この写真は、以前から気になっていた写真です。
だから、思いきってPostcardポエムを作ってみました。
じっとこの写真を見つめていると、
人が肩を寄せ合っているような感じがしてきて、
「たがいが」というタイトルをつけました。



この頃の私は、居場所のない居場所の中で過ごし、ともすると、下をむきがちな日々の中でもがいていました。

家でもなく、職場でもなく、顔も知らない人たちと会話することもなくただ隣り合っている状況の不思議さ、

スターバックスのお店の中、電車の中、エレベーターの中などなど・・・・

そんな中に身を置くと、自身の生活の中で抱えている思いがありありと浮かび上がってくる。

人が言葉をなくしてしまうほどの筋金入りの深層意識みたいなものが「じゃ〜ん!」と心の中に立ち現れてくる。

そんな思いは、決まって頭の中をグルグルと巡り、そして、頭の中は、答えのでない迷宮に迷い込んでしまう。

思いの端の糸をつかみ取っていくように、グルグルと巡る思いを必死に見つめて言葉に変えていく。

だがそれが、なかなかむずかしい。一筋縄ではいかない。

自身の暮らしが沁み込んだ過去の魂が心に押し寄せきて、自身の今の暮らしに沁みいり何かが変わりはじめる。
代々受け継がれてきたものが広がりはじめる、心の中を・・・・


エレベーターのドアを開けて待っていてくださった方に、「ありがとうございます。」
電車で席を譲ってくださった方に「ありがとうございます。」と、見知らぬ人にお礼の言葉をかける。
ただそれだけで、チョット心が和んでくる。

たがいが、たがいを清めあいながら、たがいが、たがいを許しあいながら生きていけたのなら、この人生もまた明日を向いて生きていけるのではないだろうか。


顔を上げて真っすぐ前を向いて!

さぁ、歩いて行こう・・・






次回のPostcardポエム 2019年 9月「間柄」の説明は、
Postcard Poem 「2019年 9月 間柄 」は、こちらから




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